乳腺炎の体験談

①乳腺炎になったきっかけは授乳間隔が開いたこと
乳腺炎という言葉。病名。
実は私、長男を出産するまで、そんな言葉を一回も聞いたことありませんでした。
あまりに知らない言葉すぎて、しばらくずっと、乳”線”炎だと思っていたくらい。「線」ではなくて「腺」ですね。
産院で、助産婦さんからその言葉を聞いたときも、ぴんとこない。
早い話、そんな症状は他人ごとだと思ってました。
助産婦さんは、
「乳腺炎ってね。母乳育児のトラブルなのよ。おっぱいがガチガチに張って、痛くなるのよ。熱もでるわよ」
そう言います。でも私は、「へー。まぁ、そういう炎症もあるかもね~。初産で、もちろん母乳育児したことないし、全然わからない。まぁいっかぁ」
まったくのんきだった訳です。
しかし!
実際にはわたしは、この授乳トラブルに、卒乳まで約2年間、さんざん苦しめられました。
本当にあの頃は辛かったですね。
うちの子は、全然寝ない子で、ずっと抱っこで手がかかる子だったのですが、余計に育児が辛く感じていました。
何度も何度も、「母乳育児、やめたい~!!」と切実に思っていました。とはいえ、結局は2歳7ヶ月まで授乳していたんですけれどね。不思議なものですが(苦笑)
乳腺炎とは、
「おっぱいが痛くなる。熱が出る」
一言で言えば、そういう炎症なんです。でも、これがまた、この十数文字では表せないほど、辛いものだったのです。
当時わたしは、生後1ヶ月の長男の子育てに、ものすごく苦戦していました。前にも書きましたが、うちの赤ちゃんは 「寝ない」「ずっと抱っこ」の赤ちゃんだったんです。 で、わたしはどう思ったかというと、
「これは、母乳が足りないからに違いない」
母乳不足=寝ない・泣く。
おきまりの思考パターンですよね。
育児雑誌にも、そういうふうに書いてあるところが多いのではないでしょうか。
確かに、母乳不足でおなかがすいてしまって、上手にねんねが出来ない赤ちゃんもいるでしょう。
でも、助産婦さんによると、 実は私は双子ちゃんでも完全母乳で育てられるくらいのおっぱいの持ち主だったのです。 でも信じられなかった。寝ないのは、きっと母乳が足りてないんだ。そうに違いないと思い込んでいました。
そして、ふと、育児書を見ると、
母乳不足の場合、3時間ごとのおっぱいを一回お休みして、そこをミルクで補いましょう。
と、書かれています。要するに、おっぱいを一回お休みしてミルクをたっぷりあげて、で、その間に母乳が乳房に溜まるのを待ちましょうということです。
なるほど。なるほど!
載っているとおりに、一回おっぱいはお休み。我が子にミルクをたっぷりあげました。
寝ません!
がっくりしたわたしですが、まぁ、母乳が乳房に溜まるのを待とうということで、母乳はあげませんでした。 結局、6時間ほどおっぱいをあげないでいたのです。 しかし、4時間ほどあいたころから、おっぱいがズキズキ…。心なしか、熱くなってきています。 でも、当時は、「これは母乳が溜まっている証拠♪ この痛みは絶対そうだ!」と思っていたのです。
②おっぱいがしこりだらけに
6時間後の授乳時、服をめくり上げて自分のおっぱいを見てびっくり。
「え?なにこれ」
なんだかごつごつしています。
触ってみると、か、堅いんです。
まるで石が入っているみたい!!
これって…なに? しこり?
そう思ってはみたものの、私はそれほど心配はしていませんでした。「これは、母乳が溜まっているんだ」と信じていましたね。
これが乳腺炎の始まりであり、これがきっかけで入院までしてしまい、さんざんな体験をするだなんて、全く思いもしませんでした。
そんな「ゴツゴツでしこりだらけのおっぱい」。
いつもは、授乳後はしゅんとしぼんでしまうはずなんですが、そうはならない!
いくら長男に授乳しても、全然、ゴツゴツ感は良くなりません。
「んーー。なんかヤだなぁ。おっぱい痛いなぁ。でも、母乳が溜まってるんだし…」
そう思いながら、夜は更けていきます。
その次の日の朝。
わたしの身体の調子が、明らかにおかしくなりました。
寒いのです。ガタガタ震えるくらい寒くなってきたのです。そして、関節、特に肩や腰がどんどん痛くなってきます。
「おかしいぞ?」
と思い始め、ふと、痛むおっぱいを見ると、
「真っ赤!」
右のおっぱいの脇のほう。特にごつごつが酷い部分。 そこが、卵一個分くらいの大きさで、赤くなっているのです。 どういう赤さかというと、肌を、思いっきりひっぱたいた時に出来る赤み、といったら良いでしょうか。
そうです。
乳腺炎です。
③初めての乳腺炎
慌てて、産院へ電話。そこは、母乳外来もやってくれている産院だったので、本当に助かりました。
(母乳外来という言葉も、産後初めて知りました。主におっぱいトラブルの対処、授乳指導をしてくれる場所です)
赤ちゃんは義母に預け、すぐに産院へ行きました。この時、熱は38℃を超えています。
身体はだるくてたまらない。頭痛もしてきました。
産院では、おっぱいマッサージを受けました。
(おっぱいマッサージとは、「外に出られず溜まっている母乳を、乳房を圧力をかけながらもんで外に出すという行為」のことを言います)
ただでさえ痛い乳房を、力をかけてもむのですから、これが痛い痛い!
泣きそうになりながら耐えていると、助産婦さんに、
「なんで6時間も、授乳間隔を開けるの! これじゃ乳腺炎になっちゃうでしょう? ちゃんと産院では3時間ごとって言ったわよね!」
と怒られました。
(そんなこと言われても~…)
新生児育児中のママは、ただでさえナーバスになっています。怒られてちょっとブルーになってしまう新米ママな私でした。
でも、処置後、おっぱいを触ってみると、先ほどのゴツゴツ感は、かなり良くなっていましたし、
赤ちゃんもよく母乳を飲んでくれるようになりました。
そして、お薬(葛根湯)を貰って帰ってきました。熱は、その夜には下がってきて、関節の痛みも引いてきました。
やれやれ、一安心です。
その後、ちゃんと助産婦さんの言いつけ通り、授乳は3時間以上開けることなく、
(というか3時間きっかりに、時計で計ってまで)行いました。
※これは、結果的に間違いだったとわたしは思います。
「3時間ごと」ではなく、「泣いたらおっぱい」にすればよかった!
④再び乳腺炎。今度は入院に!
しかし…。
長男が余りに寝なくて、完全徹夜だったある日の明け方。
また急激に寒気が! この前の乳腺炎から2週間も経っていないのに!
もう、泣きそうな気持ちになりました。
「えーー。またやってしまったかー…」
一回乳腺炎をやっているので、あの感触はすぐに思い出せます。すぐにそうだと分かりました。
乳房を触ると、「ゴリ」っとする部分があります。しかも、赤い部分が、今回は両側にある!
以前より身体がしんどい。頭がくらくらする。歩いても、なにか、ふわふわした所を歩いている感じ。
熱を計ると、
40℃!
産院へ行くと、助産婦さんはわたしの顔を見てひとこと。 (よっぽど悲惨な顔をしていたのでしょう…)
「うーん。あなた、入院したほうがいいわ」
というわけで、急遽入院。赤ちゃんも一緒に入院です。ここから長男とわたしの入院生活が始まります。
わたしは、点滴をつけ、定期的におっぱいマッサージを受けるという治療。
長男とは基本的には母子同室。しんどければ、看護婦さんが預かってくれました。
入院して、次の日までは、熱はずっと39℃後半でした。寒くて寒くて、熱い湯たんぽまで貸して貰ったくらいです。
部屋の暖房もがんがんいれてもらいました。(見舞いに来た義母が、「この部屋、暑いけれど大丈夫?」と聞いてくれたくらいガンガンに、です)
乳腺炎による熱は、二日目には下がったものの、やはりおっぱいはズキズキ痛みました。結局、これは、10日ほど続きました。
⑤乳腺炎での入院は実際どうだった?
で、入院生活はどうだったかというとですね。
悲惨か…というとそうでもなかったんです。実際は、自宅での育児よりも断然楽でした。
もしも「今から私は乳腺炎で入院しなくてはいけないの…」と不安がっているママ。
もしも母子同室であれば(多分そうだとおもうのですが…)ちょっと安心してください。
ごはんも作らなくて良い。掃除もなし。洗濯もなし。そして、赤ちゃんは、自分が眠りたければ、看護婦さんに任せておける。
看護婦さんに、これまでの辛い育児を吐き出したり、おんぶ育児のやりかたを教えて貰ったり、添い乳を教えて貰ったり。
私は割と楽が出来たんです。
再度繰り返しますが、うちの子は「寝ない子」ちゃん。
それまで、「徹夜」「ずっと抱っこ」で過ごしてきたわたしは、ここでようやく「生きるパワー」を取り戻した気がしました。
でも、余談なんですが…。
ひとつ困ったのは…。わたしが入院したのは、産院の陣痛室のすぐとなり。つまり、あの、陣痛の痛みに闘う声が四六時中聞こえてくるわけです。
つい1ヶ月ほど前にそれを体験しているので、その声を聞くと、こちらまで、「あのときの痛み」がなんとなーーくフラッシュバックしてしまったりして…。おまけに、出産の瞬間には、わたしも「やった~」と思わず涙ぐんだりしていました!
一週間ほど入院して、ようやく退院許可がおります。
「乳腺炎、気を付けてね~」
看護婦さんに見送られながら、笑顔で退院したわたしです。 (ま、その後も何回も繰り返すんですがね。とほほ)
ま、慣れたもんです。
気長に付き合っていこうかな、なんて考えていました。
以上が私の乳腺炎の体験談です。
もしも、「乳腺炎になってしまって不安」なんて思っておられるかたが「なーんだ、こんな感じなのか」と
ほんの少し気が楽になってくだされば幸いです。
次の記事:乳腺炎の症状とは?

乳腺炎になったら体や母乳にどのような症状がでるのでしょうか?